第12回  モーリスラクロアマスターピースグローブシリーズ

モーリスラクロアでは毎年新しい機械式時計が開発、発表されていますが、
2002年に、マスターピースのラインナップに新しいシリーズが加わりました。それが、グローブシリーズです。マスターピースとはモーリスラクロアにおける最高級時計のラインであり、厳格な規定が定められています。その規定とは、

1.時計にはオールドムーブメントもしくはモーリスラクロア独自の付加機能を加えた手巻もしくは自動巻きキャリバーを搭載する。

2.ムーブメントには、ロジウム仕上げ、コート・ド・ジュネーブなどの装飾を施し、ブルースクリュー(熱処理で青くしたネジ)を使用する。

3.5ポジションの姿勢差による精度測定を、巻き上げ直後と24時間後に実施する。巻上げ直後で日差は-7~+10秒、24時間後で-10~+20秒以内とする。

4.文字盤は925シルバーを素材とする。

5.革ベルトの場合の素材は、ルイジアナクロコダイル、SS素材の場合は、デュプロイメントバックル(観音開きで、金具のデザインがブレスと連続性のあるもの)を使用する。

6.サファイアガラスのネジ止め式裏蓋(裏スケルトン)を採用する。

7.ケース素材はSS,K18,もしくはそのコンビまたはプラチナとし、社内完全生産とする。

8.5気圧もしくは3気圧防水とする。

9.マスターピースの保証書および認定証明書を付属する。

など、細かく決められています。今までのマスターピースはどちらかというとアンティーク的なものや、オーソドックスなものが中心でしたが、このグローブシリーズはモーリスラクロアの哲学である「トゥモローズクラシック」を最も明確な形で表したものになっています。このシリーズは国際社会で活躍するビジネスマンのため、3タイムゾーン(3つの時差を同時に表示)を持った2機種がリリースされましたが、各モデル別にプラスアルファの機能があります。
1つ目の「マスターピースレベイユグローブ」は機械式アラーム機能があります。ベースムーブメントにAS社のAS5008(73~77年に製造されてデッドストックムーブメント。現在生産中止、ラクロアは2万個保有している。ということは、このレベイユグローブは限定2万個!?)を使用し、通常の3針時刻表示の他、6時位置の扇小窓による第2時間表示、2時位置の小窓日付表示、アラーム時刻設定針を装備しています。左上のリューズが通常時刻、第2時刻および日付け調整用、左下のリューズがアラーム時刻設定用および、
アラーム用ゼンマイの巻上げ、アラームON/OFFに使用します。
2つ目の「マスターピースクロノグローブ」はクロノグラフを持っています。ベースムーブメントに名作クロノムーブメント、バルジュー7750を使用し、3時位置にポインターデイト、6時位置に第2時間表示のインダイアル、9時位置インダイアルは秒表示、12時位置インダイアルは30分積算計になっています。
両モデルに共通する装備として9時位置のリューズで回転させる第3時刻表示用のインナーディスクがあります。これには誤動作防止のため、リューズを押し込みながらでないと回転しないロック機構が設けられています。どちらも直径43mmというビッグサイズのケースになっていますが、ラグ(ベルトの取り付け部)が腕に沿うように大きく湾曲しており、抜群のフィット感を得られます。最近トレンドの「デカ厚」の時計は日本人の腕にはなじみにくいと、よく言われますが、このグローブシリーズは、しっくりきます。
国際派ビジネスマンに絶対オススメの時計です。