第29回 GSX BOLLARD (ボラード)

以前に「時計の豆知識」でショップオリジナルの時計を紹介しましたが、このBOLLARD(ボラード)は、BEST時計店のプロデュースするGSXシリーズの中で最高峰をめざし、「素材感」「質感」「存在感」「装着感」といった「本物の時計の価値観」にこだわって開発されました。そして最高の素材を適切な加工により、丹念に仕上げ、職人が組み立てるという、かつての時計作りの基本を徹底的に追求したものです。
時計の伝統を再度検証し、工業デザインのの見地からも時計の「使用感」を高めるような時計の大きさ、厚さ、重量を産出しました。 また、200gというヘビー級の重さはずっしりとした「重量感」を生み出し、腕に時計を着けているという「存在感」を与えます。さらにグランドコンプリケーションという伝統的な複雑機構を搭載することにより「価値観」を高めています。時計業界では、重要な発明とされる複雑機能が6つあり、この6大複雑機能のうち3つ以上搭載している時計をグランドコンプリケーションと呼びます。
この6つとは、ムーンズフェイス、スプリットセコンドクロノ、ミニッツリピーター 、パーペチュアル(永久)カレンダー、ウルトラスリム、トゥールビヨン(個々の説明は時計の豆知識のグランドコンプリケーションの回を参照してください)ですが、これらを機械式で製作すると、最低でも50万円以上、特にトゥールビヨンを組み込んだ時計は数百万円するのが相場です。しかしボラードは、クォーツ式グランドコンプリケーションムーブメント(ムーンズフェイス、スプリットセコンドクロノ、ミニッツリピーター 、パーペチュアル(永久)カレンダーの4つの機能を搭載)を組み込むことにより、価格をおさえ、なおかつ「価値観」を高めています。さらに24時間計およびベゼルに航空回転計算を搭載、風防ガラスに無反射コーティングすることにより、航空時計としての使用も可能になっています。風防ガラスは、高価なサファイアクリスタルガラスをさらにドーム状に加工することで、正面からの衝撃を時計本体へ逃がす衝撃分散を図っています。本体およびブレス素材には「316Lステンレススチール」のみ使用しています。このステンレスは、オーステナイト系と呼ばれ、クロム12%を含み、硬度、靭性が高く、高価で加工が困難なのですが、その分強靭で、ロレックス、ブライトリングなど舶来高級時計の殆どが使用する素材です。 また、ニッケルの溶け出しが少なく、アレルギー反応しにくいのも特徴です。この素材を数年間屋外で枯らして十分に歪みを出し切ったあと、無垢材より削り出し、各加工、処理をへて、ケース、ブレスを作っています。それを、職人がほとんど手作業で丹念に仕上し、 組み立てていっています。 つまりこのボラードの外装は、数十万円の高級時計と同等かそれ以上の手間暇をかけて作られているのです。
1999年にファーストモデルが発売されてから、2003まで、毎年新モデルが本数限定で発売されています。2000年モデルのペットネームは「スピード」、黒のイオンプレーティング処理されたケース、ブレスとカーボンダイアルの組み合わせはまさにサーキットのイメージで、アラビア数字の夜光インデックスが視認性を高めています。2006年4月発売のスターウォーズとのコラボレーションモデル ボラード「ダース・ベーダー」は黒光する甲冑のイメージで、本体、ブレス、文字盤の全てがグロス仕上げされており、ケースバックのミニッツリピーター音響穴からあの「コー、ホー」という独特の機械呼吸音が聞こえてきそうです。また、ムーンフェイスの月が「デススター」になっておりファンの心をくすぐるデザインになっています。