第21回 ショップオリジナルの時計

 「自分の好みの時計をオーダーメイドする」というのは時計愛好家にとっては究極の夢です。 もちろん、お金に糸目をつけなければ可能ですが、少々の金額ではメーカーは動いてくれませんし、それでは一般の人には無理です。
今は、完全にメーカー主導の形で、大量生産のブランド時計を宣伝により、洗脳に近いかたちで選ぶ、というより選ばされているのが現状です。 しかし、このような中で、「自分自身が欲しいと思う時計」を作る時計店が出てきました。それがショップオリジナルの時計なのです。
ブランド時計メーカーは、ジュエリーメーカー、服飾ブランドが時計事業に乗り出したり、もとは小さな時計工房から大きくなった専業時計メーカーが多いのですが、中にはそれらの商品を扱う小売り店から、オリジナルの時計を作るようになり、時計ブランドとなった会社もあります。 ダンヒルはタバコ店から、ティファニーは骨董品と文具を扱う店から、パネライ、グリモルディーは高級時計店より、時計メーカーとなっています。 これらと同じように日本にも、ショップオリジナルの時計を製造販売している時計店が何店かあります。 その代表格は、「シェルマン」で銀座に店舗を構える高級時計とアンティーク時計を扱うこだわりの時計店です。
1996年に発売された世界初のクォーツによる超複雑時計「グランドコンプリケーション」は、クォーツの新たな可能性を世界に示しただけでなく、精緻なギョシェ彫りの文字盤や、張り込み式のムーンフェイズなど、数百万円クラスの時計に引けを取らない仕上げが評価され、スイスのラ・ショードフォン国際時計博物館に永久展示されました。
また「クロワゾネ」ダイアルの回でも説明しましたが、シェルマンの「ワールドタイムミニッツリピーター クロワゾネダイアル」は、バーゼルフェア2002年にデビューし、この時計も同国際時計博物館に永久展示されています。ショップオリジナルの時計が、しかも2本も
同国際時計博物館に永久展示されたことは極めて異例のことで、「シェルマン」がいかにクオリティーの高い時計を作り、それが世界に認められた事を示す証です。
また、銀座 天賞堂、横須賀の大安堂、ケントレーディング、TICTAC、ベスト新宿などが、ショップオリジナルの時計を製造、販売しています。中でも、最も充実しているのが、ベスト新宿が展開するブランド「GSX」です。
「GSX」のコンセプトは「最高のセカンドウォッチ」と、しています。 例えば、ロレックスやフランク・ミューラーを持っている人が、ちょっと気分を変えてみたくなった場合や、オーバーホールに出している間の代替えとして着けるのに、ふさわしいデザインと品質を提供することを目的としている、ということです。
リーズナブルな価格と豊富な種類でクォーツ式が中心のGSXスマートシリーズ、ソーラー電池と丸みを帯びたUFO型ケースを組み合わせたGSX211、212シリーズ、機械式およびクォーツ式で展開するGSXのフラッグシップモデルとも言うべきGSX900、901シリーズ、クォーツ式の本格的グランドコンプリケーション ボラードシリーズなど、価格、デザイン、性能をお好みに応じて、選ぶことができます。また、スマートシリーズおよびGSX900、901シリーズは、映画やスポーツ選手とコラボレーションした限定モデルや、クリスマス限定モデルが毎年発売されて、コレクション性を高めています。 映画ではスパイダーマンやマトリックス、バットマンなど、スポーツ選手では、
巨人軍やフォーミュラーニッポンチームのインパル等とコラボレートし、殆どのモデルは売り切れになっています。また銀座、川崎にはGSX専門の店舗をオープンし、ラインナップも益々充実させています。