第29回 時計のストラップの種類

時計を腕に固定するための部品、すなわちストラップは大きく分けて、金属等のブレスと皮革等のベルトに分けられます。
ブレスは通常、駒を繋ぎあわせて組み立てているもので、一部の駒の脱着が可能で、腕廻りにあわせて調整する ことができます。大抵、時計本体ケースと同じ素材で、ステンレススチールが主流です。その他の素材として、ブラス(真鍮にメッキしたもの、低価格の時計に使用される)、K18やプラチナなどの貴金属やチタンなどの新素材が使用 されています。チタンは強度が強くて軽く、さらに人体に対してアレルギーを起こさないため、特に注目されています。最近ではセラミック、特殊ラバーなどハイテク素材で駒を作り、金属パーツで繋ぎあわせるハイブリッドなブレスもよく目にするようになりました。
ブレスの駒は、1ピースのものから いくつものピース(3個、5個が多い)からなるものもあります。また、部品も無垢からの削り出し場合や、板金を折り曲げて作ったもの(安価な時計は殆どこれです)など色々な種類があります。また、金属製でありながら、ベルトと同じ形の編み込み型のブレスもあり、これは腕廻り調整のため切断 しなければなりません。 K18等の貴金属をケース、ブレスに使用した薄型 高級ドレスウォッチによく見られます。1度切断すると元に戻すことはできませんので注意が必要です。
皮革等のベルトは、天然素材と人工素材に分けられます。天然素材で最も一般的な素材は 牛革(カーフ)です。高級時計には、ワニ革 (クロコダイル、アリゲーター)やトカゲ革(リザード)、だちょう(オースト リッチ)等がよく使われます。その他には、サメ(シャーク)、蛇(パイソン)、豚(ピッグスキン)、最近のめずらしい素材としてエイ(ガルーシャ)などが あります。人工素材としては、合成ラバー、ナイロン、ウレタン、ケブラー、 プラスチック、カーボン等があります。

・カーフスキン

生後6ヶ月以内の仔牛の皮をなめしたもの。
きめ細かく柔らかいのと比較的安価なため、最もよく使用される。

・クロコダイル

中南米産カイマンワニの脇腹の皮を使用。
高級クロコダイルとして最も一般的なもの。 丸みを帯びた模様(丸斑)が特徴。

・アリゲーター

アメリカ、ミシシッピーワニの腹部の皮を使用。ワニ革の中で最高級品とされている。
クロコダイルより模様が角張っており竹斑と言われている。とくに腹部中央の模様は珍重される。

・リザード

トカゲの中でも高級品とされるのがナイルオオトカゲ。
染色がし易いため、カラフルな色にされ婦人用としての需要が高い。

・オーストリッチ

飼育だちょうの革。羽を抜いたあとの毛穴の丸いつぶが特徴。
この粒の大きさが揃っていて間隔の均等なものが高品質なもの。

・シャーク

主にヨシキリザメの革をなめしたもの。
サメの表皮はサメ肌特有の楯鱗という硬いリン酸カルシウムのざらざらした組織があり、やすり代りとして使用されることもあるがこの組織を塩酸で溶かしてなめす。

・パイソン

ニシキヘビ等大型の蛇の総称で、ダイアモンド型のうろこや個性的な斑紋が特徴。
他の皮に比べて薄く柔らかい。

・ガルーシャ

エイの皮をなめしたもので、小石を敷き詰めたような独特の風合いがある。
非常に硬く、加工の時、刃物が刃こぼれする場合もあるほど強靭で、加工が難しく手間がかかる。

・ケブラー

米国デュポン社により開発された芳香族ポリアミド樹脂。 分子構造が剛直で直鎖型の骨格を持つため、鋼鉄の5倍の引張強度と他の樹脂より高い耐熱性を有する。
ベルトは繊維状にしたものを編み込んで作る。防弾チョッキ等にも使用される。